KMです。
原田マハ著(双葉社・2014年)
『奇跡の人』というフィクション小説があります。
このタイトルだけでピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。
二人の主要人物が登場します。
『介良 れん』(けら れん)
『去馬 安』(さりば あん)
そうです、ヘレン・ケラーとアン・サリヴァンの物語を再構成した小説です。
私は本家の物語を読んだ事がなく、まっさらな状態で読む事が出来ました。
東北の名家に生まれた少女れんは赤ん坊の時に患った大病と高熱の影響で視力聴力を
失います。言葉も未修得で獣のような少女のために蔵の中にほぼ幽閉の状態。
その少女の家庭教師として東京から招かれた弱視の『あん』。
彼女は可能性を信じ『れん』を導きます。
舞台は明治時代の津軽でイタコや門付芸人の三味線などオリジナルの要素も加えて
描かれています。
良い物語でした。
見ること、聞くこと、喋ること、障害がなければ出来ることです。
それらのことを時間をかけて出来るようになったり、違う手段で補ったり、
いずれにせよ本人の努力が必要で、周囲の協力や導きの大切さと崇高さ。
何かが出来るようになる、その成果も素晴らしいですが、不自由、疎外感、焦燥感、
膨大な失敗、成果に至るまでに感じた事、経験した事が人格形成に多大なる影響を
与え、その人を支える根になるのだと思える純粋な物語でした。
文庫版は今年2018年に発売だったようで書店で平積みされていました。
表紙がルドンの絵だったので気になり手に取りました。

ルドンが色鮮やかな絵を描くようになったのは50歳を過ぎてからの事らしいです。
「過ぎてゆく毎日には、それぞれ苦しみがある。それは真理の幕をあげて見せる。」
これは1870年にルドンが書いた言葉です。
絵だけでなく素晴らしい言葉も沢山残しています。
人間がどう変わっていくかは誰にもわからないもんですね。